ABCIについて

リーダーシップ

国立研究開発法人 産業技術総合研究所
情報・人間工学領域 領域長
関口 智嗣


世界でもトップクラスの性能を誇るABCI– AI橋渡しクラウドが本格的に始動し、研究者や事業者の皆さまに利用いただく準備が整いましたことを喜びと共にご案内させていただきます。現在進行形の第3次人工知能ブームでは、膨大なデータを深層学習の入力として与えることで複雑な実世界における事象でも人間に近い精度でコンピュータが判別することを可能としてきました。これにより、ロボットが人間を単純肉体作業から解放したように人工知能は単純な知的作業から解放してくれます。さらに、大規模なシミュレーションによる膨大な学習データの生成と深層学習の組合せにより、これまで人が想定外としていた可能性を提示するなど適用範囲の拡大にますます期待が膨らみます。

ABCIは①これまでの人工知能で培われてきた要素技術を実社会の問題にスケールさせる技術開発のため、②計算機パワーに支えられて先行してきた技術開発に対抗するため、③新たな人工知能産業エコシステムの基盤となる計算能力を提供します。さらに、これまでIT資源への投資に積極的ではない業種から機械学習を専門で受託するような事業モデルや今後の拡大が期待される人工知能向けデータセンター事業のモデル化も検討しています。

人工知能技術が「当たり前」に用いられる日はすでに到来しています。皆さまにはABCIの利用を前提とした事業革新への挑戦を産総研と共にご検討いただきますよう、よろしくお願いいたします。






国立研究開発法人 産業技術総合研究所
人工知能クラウド研究チーム チーム長
小川 宏高


人工知能技術の最先端の研究開発、産業等への社会実装を加速するには、(1) ディープラーニングを始めとするアルゴリズム、(2) 実社会から取得される多種多様大量のビッグデータ、そして両者の組み合わせを可能とする (3) 膨大なコンピューティングパワー、特に機械学習処理能力の供給、が欠かせません。ABCIの目的は、世界トップクラスの機械学習処理能力・データ処理能力を供給するするとともに、3者の連携によるオープンイノベーションを促進するプラットフォームとしての役割を担うことです。

ABCIは、HPC・AI分野でデファクトとなっているハードウェア及びソフトウェアを採用しているため、幅広いソフトウェアエコシステムをそのまま活用できます。各種ディープラーニングフレームワークをはじめとするソフトウェアがプリインストールされており、すぐに試すことができます。また、ABCI上で開発したソフトウェアや学習モデルを、PCや商用クラウドなど様々な環境で再利用することも容易です。特にコンテナに対応しているため、ソフトウェアの簡便な導入・利用が可能であり、コミュニティでのソフトウェア資産の相互活用にも適しています。

また、ABCIは、実社会から取得されるビッグデータや学習モデルデータ等を収集・蓄積・利用するための大容量・高速な共有ストレージを提供します。今年度後半以降を目処に、データの安全な活用を促進するため、法令及び国際的なセキュリティ基準に準拠した暗号化対応のデータ基盤の導入も進めています。こうしたストレージやデータ基盤により、安全なデータ管理を必要とするデータの保管・利用、データのステークホルダ間での共有、オープンデータや学習モデルの公開・再利用など、データのエコシステムの充実にも取り組んでいきます。

この他、ABCIグランドチャレンジプログラムの実施や、HPCIへの資源提供(来年度以降を予定)を通じて、トップノッチの研究成果の創出など、学術への積極的な貢献も進めていきます。