生成AIは、従来のAIでは不可能だった、様々な創造的な作業を人間に代わって行える可能性があることから、産業活動・国民生活に大きなインパクトを与えると考えられています。その一方、生成AIの開発には大量かつ良質なデータが必要で、その確保が生成AIモデルの競争力を左右しますが、開発にあたって必要なデータは限られており、そのデータセットの構築手法も模索が続いています。また、生成AIの開発や利活用を推進する上では、固有のデータを保有する企業等(以下、データホルダーという)のデータをいかに活用するか、データホルダーと生成AI開発者の連携をいかに促進するかも重要です。
こうした課題に取り組むため、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDOという)では、ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業の一環として、データ・生成AIの利活用に係る先進事例に関する調査や、生成AI開発加速に向けた新たなデータセットの構築に関する調査を実施中、あるいは新規に公募予定となっています。
産総研グループとしてもこうした取り組みを支援していくため、ABCI 3.0へのデータ持ち込みとそれを用いた利活用実証を支援するプログラムを実施します。
以下をすべて満たす提案であること。
(*) NEDOによる公募課題の追加等に応じて対象事業は追加・変更される場合があります。
対象となる課題には、最大100TB×提案期間の共有ストレージまたはオブジェクトストレージ、最大4ノード×12ヶ月相当の計算資源を無償提供します(48ノード月の範囲内であれば、12ノード×4ヶ月、16ノード×3ヶ月などの利用も可能です)。
これを上回る利用については、提案事業者が「開発加速利用」に準じた利用料を負担する必要があります。
以下の書類を下記メールアドレスまで電子メールで提出してください:
(*) 同NEDOプロジェクトへの応募検討中の課題も提案を受け付けます。ただし、本プログラムの適用を受けるには、NEDOに提出した提案書の写しと、NEDOの採択通知書の写しを必須とします。また、NEDOによる公募課題の追加等に応じて対象事業は追加・変更される場合があります。
提出先メールアドレス: abci3-application@abci.ai
(電子メールの件名は「共創型データ実証支援プログラム応募」としてください)
本プログラムの採否に係る審査は、研究所に設置される審査委員会において、書類審査およびその結果を踏まえた討議により行います。採否は電子メールにて通知します。
受付番号 | 研究開発課題名 | 研究開発の概要 | 代表機関・所属 | 代表者氏名 | 実施期間 | 採択情報 |
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1 | ポスト5G情報通信システ厶基盤強化研究開発事業/生成AI開発加速に向けた新たなデータセットの構築に関する調査 | 本プロジェクトでは、以下5点を目標として設定し本調査期間内にこれらを実現することを目指す。本調査を通じて得られる成果は、生成 AI 開発の加速に資するとともに、将来的な公共財としての活用を見据えた基盤づくりを可能にする。 1. 生成 AI 開発会社のニーズおよびエンドユーザー企業のニーズや意見を最大限に取り入れたデータセットを構築すること。また、規制や倫理的課題をクリアするための要件を考慮し、法的・倫理的に適合したデータセットを設計・構築すること。 2. データの適切な機密性・・全性性・可用性・利便性を備えた運用フローとシステム基盤構築により、セキュアで効率的なデータ管理・提供を実現すること。 3. 連携する生成 AI 開発会社にデータセットを提供し、フィードバックを通じて、生成 AI 開発会社の開発加速に資するデータセットの在り方や提供プロセスを確認すること。 4. プロジェクト後も収集・構築したデータセットを有効活用するために、構築したデータの適正な取扱い方針を定め、プロジェクト後も継続的にデータセットを管理・提供できるスキームを確立すること。 5. 生成 AI 開発にとって有益なものとなる、データセットの構築・管理・提供を進めていくためのガイドラインとなる課題・気づき・改善点を得て、調査の各段階(データセットの設計、収集、構築、管理、提供、利活用実証)で発生した具体的な事例、直面した課題、得られた知見、および改善策を体系的に整理し、詳細に記載したレポートを作成すること。 |
ソフトバンク株式会社 デジタル社会基盤整備室 シニアビジネスダイレクター |
福地 健之 | 2025 年1月 ~2025年7月 | NEDO |
2 | AI を用いた汎用ロボット開発加速に向けた学習向けのロボット動作データセットの構築およびロボット基盤モデルへの応用可能性への検証についての調査 | 本事業は、一般社団法人 AI ロボット協会(AIRoA)を中心として、サービス業・製造業・医療など様々な領域で活用できるような、ロボット制御のための機械学習モデル(ロボット基盤モデル)の構築手法の調査、その学習のための多様かつ大量のデータセットを構築するためのシステム設計に関する調査、それらを実行するためのソフトウェアプラットフォーム設計に関する調査を行うことで、本事業をきっかけとして世界的に活用されるオープンソースのプラットフォームの構築に繋げる。 本事業期間では、35 台以上のモバイルマニピュレータ標準機を用いて、世界トップレベルのロボットの動作データセットの構築(10 万時間以上)し、それに基づいて、様々な環境やタスクに対して汎用的に動作を end-to-end で生成できるロボット基盤モデルを実際に学習することで、世界最大級のデータセットをもち、デファクトスタンダードとして利用されるロボット制御のデータプラットフォームと基盤モデルを構築し、活用する方法を調査する。 AIRoA が取りまとめとして、収集したデータセットとソフトウェア・事前学習済みモデルの公開を行う。これらのソフトウェア・モデルは事業期間以降の社会応用で基盤として各社が利用できるようにすることで、(例えば、ロボットシステムでの ROS や、深層学習領域でのHuggingFace のような)世界でデファクトスタンダートとして使われるようなソフトウェアスタックの構築に繋げる。 |
一般社団法人 AI ロボット協会 理事長 |
尾形 哲也 | 2025 年 4 月〜2026 年3 月 | NEDO |